昨今のサウナブームで、自宅やアウトドアでサウナを楽しむ方が増えています。その際に欠かせないのが、サウナストーブの上で熱を蓄えるサウナストーンです。しかし、専用のサウナストーンは比較的高価なため、「何か他のもので代用できないか?」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から言うと、サウナストーンの代用は不可能ではありませんが、石の選び方を間違えると、爆ぜて破片が飛び散ったり、有害物質が発生したりする危険性が伴います。
この記事では、サウナストーンの代用を検討している方のために、安全に使える代用品の種類や選び方のポイント、そして代用してはいけない危険な石について、詳しく、そしてやさしく解説していきます。この記事を読めば、安全にサウK-POPウナライフを楽しむための知識が身につき、代用品を検討する際の不安が解消されるはずです。
サウナストーンの代用はできる?身近なもので楽しむ方法

サウナの心地よさの要となるサウナストーンですが、専用品以外のもので代用することはできるのでしょうか。ここでは、代用品として考えられるいくつかの選択肢と、それぞれの特徴について見ていきましょう。
レンガやタイルで代用する
ホームセンターなどで手軽に入手できるレンガやタイルは、サウナストーンの代用品として考えられる選択肢の一つです。これらはもともと高温で焼かれて作られているため、ある程度の耐熱性を持っています。特に、耐火レンガと呼ばれる、暖炉やピザ窯などに使われるものは、通常のレンガよりも高い耐熱性を持つため、代用品としてより適していると言えるでしょう。
しかし、注意点もあります。レンガやタイルには、製造過程で使用される接着剤や化学物質が含まれている可能性があり、高温で加熱することで有害な気体が発生するリスクがゼロではありません。また、吸水性が高いものが多く、内部に水分が残ったまま加熱すると、水蒸気爆発を起こして割れたり、破片が飛び散ったりする危険性も考えられます。使用する際は、無釉(うわぐすりのかかっていない)のものを選び、十分に乾燥させてから、少しずつ加熱して様子を見ることが重要です。
セラミック製品で代用する
セラミック(陶磁器)も、サウナストーンの代用品候補です。セラミックは非常に高い温度で焼成されているため、優れた耐熱性を持っています。実際に、人工のサウナストーンにはセラミック製のものも存在します。身近なものでは、割れてしまった土鍋のかけらや、無地の陶器製のお皿などが考えられます。
セラミック製品を代用するメリットは、比較的クリーンで、有害物質の心配が少ないことです。また、製品によっては遠赤外線効果が期待できるものもあり、体の芯から温まる感覚が得られるかもしれません。ただし、釉薬(うわぐすり)が塗られているものは、加熱によって成分が溶け出す可能性も否定できません。できるだけ無地の、素焼きに近いものを選ぶと良いでしょう。また、陶器は吸水性があるため、レンガと同様に、使用前には完全に乾燥させることが必須です。急激な温度変化に弱いものもあるため、ロウリュ(サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させること)を行う際は、少しずつ水をかけるなどの配慮が必要です。
天然石(花崗岩など)で代用する
河原や山で拾ってきた天然石を使いたい、と考える方もいるかもしれません。天然石を代用する場合、最も重要なのは石の種類を見極めることです。サウナストーンとして一般的に使われるのは、花崗岩(かこうがん)や斑れい岩(はんれいがん)といった火成岩です。これらはマグマが冷えて固まってできた岩石で、密度が高く、熱に強い性質を持っています。
花崗岩は、墓石や建築資材にも使われる身近な石ですが、熱による膨張率が異なる鉱物が混ざっているため、急激な加熱や冷却によって割れる可能性があります。特に、ロウリュで水をかける際は注意が必要です。天然石を使用する場合は、熱に強く、内部に水分が溜まりにくい、密度の高い石を選ぶことが大前提となります。安易に見た目だけで選ぶのは避けましょう。
サウナストーン代用品の選び方と注意点

代用品を使う場合、安全性への配慮が最も重要です。ここでは、代用品を選ぶ際に必ず押さえておきたいポイントと、使用する上での注意点を具体的に解説します。
耐熱性が高いものを選ぶ
まず何よりも、高温に耐えられることが絶対条件です。サウナストーブの温度は非常に高くなり、ロウリュによって急激な温度変化も起こります。この温度変化に耐えられない石は、割れたり爆ぜたりする危険性が非常に高まります。
代用品を選ぶ際は、その素材がどれくらいの温度まで耐えられるのかを事前に確認しましょう。例えば、レンガであれば耐火レンガ、セラミックであればオーブン対応の食器など、高温での使用が想定されているものを選ぶのが一つの目安になります。耐熱性が不明なものを安易に使うのは絶対にやめましょう。
有害物質が出ないか確認する
石を加熱した際に、人体に有害な物質が発生しないかどうかも、非常に重要なポイントです。例えば、接着剤や塗料、化学的なコーティングが施されているものは、高温で熱せられると有害なガスを発生させる可能性があります。閉め切ったサウナ室内でそのようなガスが発生すると、健康に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
また、天然石の中にも、アスベスト(石綿)などの有害物質を含むものがあるため注意が必要です。見た目では判断できないため、由来のわからない石の使用は避けるべきです。代用品は、成分が明確で、加熱しても安全であると確信が持てるものに限定しましょう。
使用前には必ず洗浄・乾燥させる
代用品を使用する前には、必ずきれいに洗浄し、完全に乾燥させることが不可欠です。石の表面に付着した泥や苔、その他の汚れは、加熱されることで嫌な臭いの原因になったり、煙が出たりすることがあります。
徐々に加熱・冷却する
代用品は専用のサウナストーンと比べて、急激な温度変化に弱い可能性があります。そのため、加熱・冷却はゆっくりと行うことを心がけましょう。いきなり強火で熱するのではなく、弱火から徐々に温度を上げていくことで、石への負担を軽減できます。
ロウリュを行う際も同様です。熱した石に一度に大量の水をかけると、急激な温度低下で石が割れてしまうことがあります。柄杓で少量ずつ、石の様子を見ながら慎重に行いましょう。サウナが終わった後も、水をかけるなどして急に冷やすのではなく、自然に冷めるのを待つのが安全です。
危険!サウナストーンの代用にしてはいけない石

サウナストーンの代用を考える上で、絶対に選んではいけない石が存在します。安易な判断が重大な事故につながる可能性もあるため、ここで紹介する石は絶対に使用しないでください。
川や海で拾った石(爆ぜる危険性)
川や海、その辺の道端で拾ってきた石をサウナストーンとして使うのは非常に危険です。 これらの石は、見た目では種類や成分が全く分かりません。多くの石は、内部に水分や空気を含んでいる可能性があり、加熱すると内部の圧力が高まって破裂(爆ぜる)する危険性が非常に高いです。
実際に、キャンプファイヤーの周りに置いた石が突然爆発し、怪我をするという事故も起きています。サウナという密室で石が爆ぜれば、高温の破片が飛び散り、大やけどを負うだけでなく、ストーブやテントを破損させることにもつながります。どんなに見た目が良くても、由来のわからない石を使うのは絶対にやめてください。
多孔質な石(水分を含みやすい)
多孔質(たこうしつ)な石、つまり表面にたくさんの小さな穴が開いている石もサウA-POPウナストーンには不向きです。例えば、軽石や一部の溶岩石などがこれにあたります。
これらの石は、内部に水分を溜め込みやすく、完全に乾燥させることが難しいという性質があります。水分が残ったまま加熱すれば、前述の通り水蒸気爆発を起こすリスクが高まります。専用のサウナストーンとして販売されている溶岩石は、サウナ用に選別・加工されたものですが、安易に同じような見た目の石を選ぶのは危険です。代用品としては、緻密で密度の高い、水はけの良い石を選ぶのが原則です。
アスベストを含む可能性のある石
アスベスト(石綿)は、かつて建材などに使用されていた天然の鉱物ですが、吸い込むと深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。このアスベストは、特定の種類の岩石中に自然に含まれていることがあります。
特に、青石(緑泥片岩など)と呼ばれる一部の庭石には、アスベストが含まれている可能性があると指摘されています。これらの石を加熱すると、アスベスト繊維が飛散し、サウナ室内に充満する恐れがあります。吸引してしまうと、肺がんや中皮腫といった重い病気の原因になりかねません。石の種類を正確に特定できない限り、庭石などの安易な利用は避けるべきです。
やはり専用品が一番?サウナストーンのメリット

代用品のリスクを考えると、やはり専用に作られたサウナストーンを使うのが最も安全で快適です。ここでは、なぜ専用のサウナストーンが優れているのか、そのメリットを具体的に見ていきましょう。
高い蓄熱性と耐久性
専用のサウナストーンは、熱を効率的に蓄え、長時間その熱を保持する能力(蓄熱性)に優れた石が選ばれています。これにより、サウナ室内の温度を安定させ、快適な状態を長く保つことができます。一般的に、色が黒く密度の高い石ほど蓄熱性に優れているとされています。
また、ロウリュによる急激な温度変化にも耐えられるよう、高い耐久性と耐熱性を兼ね備えています。ひび割れや崩れが起こりにくいため、安全に長期間使用することができます。代用品では、このレベルの蓄熱性や耐久性を期待するのは難しいでしょう。
ロウリュに適した蒸気の発生
サウナの醍醐味であるロウリュですが、サウナストーンの種類によって蒸気の質も変わってきます。専用のサウナストーンは、ロウリュに適した心地よい蒸気を効率的に発生させるように考えられています。
例えば、表面に適度な凹凸がある石は、水がすぐに流れ落ちず、じっくりと蒸発するため、柔らかくマイルドな蒸気が立ち上ります。一方で、表面がツルツルした石だと、水がすぐに蒸発してしまい、瞬間的に熱い蒸気が発生します。専用品は、熱の伝わり方や蒸気の発生の仕方が計算されており、より質の高いサウナ体験をもたらしてくれます。
安全性が保証されている安心感
専用サウナストーンの最大のメリットは、何と言っても「安全性」が保証されていることでしょう。 サウナという高温環境での使用を前提に、有害物質を含まず、加熱しても爆ぜる危険性が極めて低い石が選ばれています。
代用品を使う場合、常に「この石は本当に安全だろうか?」という不安がつきまといます。リラックスするためにサウナに入っているのに、石の心配をしていては心から楽しめません。安心してサウナに集中できるという精神的なメリットは、非常に大きいと言えるでしょう。安全にサウナを楽しむためにも、特に初心者の方は、まずは専用のサウナストーンを使用することを強くお勧めします。
まとめ:サウナストーンの代用は慎重に!安全第一で楽しもう

この記事では、サウナストーンの代用品について解説しました。レンガやセラミック、一部の天然石などで代用することは不可能ではありませんが、そのためには耐熱性や有害物質の有無、石の性質などを正しく理解し、細心の注意を払う必要があります。
特に、川や海で拾った石など、素性がわからない石の使用は、破裂の危険性が高く絶対に避けるべきです。安全性を最優先するならば、やはり専用に開発されたサウナストーンを使用するのが最も賢明な選択です。専用品は蓄熱性や耐久性に優れ、ロウリュで質の高い蒸気を発生させてくれるため、快適で安心なサウナ時間を約束してくれます。
代用品を検討する場合も、この記事で紹介した注意点を必ず守り、自己責任の上で慎重に判断してください。安全対策を万全にして、素晴らしいサウナライフを送りましょう。



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