安くてボリューム満点、和洋中どんな料理にも使える厚揚げは、食卓の強い味方ですよね。しかし、賞味期限が意外と短く、つい使いそびれて困った経験はありませんか?「あと一品欲しいけど、買い物に行くのは面倒…」そんな時にも、厚揚げが冷凍庫にあれば大助かりです。
実は、厚揚げは冷凍保存にとても向いている食材なのです。正しい方法で冷凍すれば、おいしさを損なうことなく、約1ヶ月も保存期間を延ばすことができます。 それだけでなく、冷凍することで味が染み込みやすくなるという、うれしいメリットもあるのです。
この記事では、厚揚げの基本的な冷凍保存方法から、おいしく食べるための解凍のコツ、そして冷凍厚揚げを主役にした絶品レシピまで、わかりやすくご紹介します。もう厚揚げを無駄にすることなく、毎日の料理にもっと手軽に、もっとおいしく活用できるようになりますよ。
厚揚げは冷凍できる!気になる保存方法とメリット

厚揚げは冷凍できると聞いても、「本当に美味しく食べられるの?」「手間がかかるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、厚揚げを冷凍するメリットや、冷凍前に行うべき下処理、そして具体的な冷凍の手順について詳しく解説します。正しい知識を身につけて、厚揚げをより便利に活用しましょう。
冷凍保存のメリットとは?
厚揚げを冷凍保存することには、主に2つの大きなメリットがあります。
一つ目は、長期保存が可能になることです。厚揚げのパックに記載されている賞味期限は、冷蔵保存で5日程度とあまり長くありません。 開封してしまった場合は、さらに早く使い切る必要があります。しかし、冷凍すれば保存期間を約1ヶ月まで延ばすことができます。 これにより、特売でまとめ買いした時や、少しだけ使って残ってしまった時でも、慌てずに済みます。食材を無駄なく使い切ることは、節約にも繋がりますね。
二つ目のメリットは、調理の時短に繋がり、味が染み込みやすくなることです。冷凍する際に使いやすい大きさにカットしておけば、調理の際に包丁とまな板を出す手間が省けます。 さらに、冷凍した厚揚げは、内部の水分が抜けてスポンジのような状態になります。 このため、生の厚揚げよりも煮汁などの味が染み込みやすくなるという特徴があります。 いつもより短い煮込み時間でも、味がしっかり染み込んだおいしい煮物を作ることができるのです。おでんや煮物には、むしろ冷凍した厚揚げの方が適していると言えるでしょう。
冷凍前の下処理「油抜き」は必要?
厚揚げを冷凍する前に、「油抜き」という下処理を行うことを強くおすすめします。油抜きとは、厚揚げの表面に含まれる余分な油を取り除く作業のことです。この一手間を加えることで、いくつかのメリットが生まれます。
まず、油の酸化を防ぎ、風味の劣化を抑えることができます。 厚揚げをそのまま冷凍すると、表面の油が冷凍庫内で酸化し、「油焼け」と呼ばれる状態になり、味が落ちてしまう原因になります。 油抜きをすることで、この油焼けを防ぎ、おいしさを長持ちさせることができるのです。
また、油抜きには味の染み込みを良くする効果もあります。 表面の油が取り除かれることで、調味料が厚揚げの内部に浸透しやすくなります。
油抜きの方法はいくつかありますが、簡単なのは熱湯をかける方法です。
1. ザルの上に厚揚げを置きます。
2. 沸騰したお湯を、厚揚げ全体にまんべんなく回しかけます。
3. お湯を切り、キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取ります。
より丁寧に油抜きをしたい場合は、鍋で1〜3分ほど茹でる方法もあります。 この方法だと、ふんわりとした食感になり、焼き物料理などに向いています。 ご家庭の調理器具や、作りたい料理に合わせて方法を選んでみてください。
基本の冷凍保存手順(そのまま・カット)
油抜きが終わったら、いよいよ冷凍保存の作業に入ります。厚揚げは、そのままの大きさでも、調理しやすいようにカットしてからでも冷凍できます。 どちらの場合も、ポイントは空気に触れないように密閉することです。
【カットしてから冷凍する場合】
あらかじめ使いやすい大きさにカットしておくと、調理の際に凍ったまま使えて非常に便利です。
- 油抜きをして水気を拭き取った厚揚げを、お好みの大きさ(一口大や薄切りなど)にカットします。 やけどに注意してください。
- 1回に使う分量ずつ小分けにし、空気が入らないようにぴったりとラップで包みます。 厚揚げ同士が重ならないように、平らに並べて包むのがポイントです。
- 冷凍用保存袋に入れ、袋の中の空気をできるだけ抜いてから口を閉じ、冷凍庫で保存します。
【そのまま冷凍する場合】
調理する料理が決まっていない場合や、大きく使いたい場合は、カットせずにそのまま冷凍することも可能です。
- 油抜きをして水気を拭き取った厚揚げを、1枚ずつ空気が入らないようにぴったりとラップで包みます。
- 冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いてから冷凍庫で保存します。
冷凍にかかる時間が短いほど、風味や食感の劣化を防げます。 金属製のトレーの上に置いて冷凍すると、熱伝導が良くなり、より早く凍らせることができます。
【状態別】厚揚げの冷凍保存方法

厚揚げは調理前の状態だけでなく、調理後に冷凍することも可能です。買ってきたまま未開封の状態、煮物にした後、焼いた後など、それぞれの状態に合わせた冷凍方法を知っておくと、さらに便利に厚揚げを活用できます。ここでは、状態別の冷凍保存方法とそのポイントを詳しく解説します。
買ってきたまま「未開封」で冷凍する場合
スーパーで買ってきたパックのまま冷凍庫に入れるのは、手軽で簡単なように思えますが、実はあまりおすすめできません。 パックのままだと完全に密閉されていないため、厚揚げが空気に触れて乾燥したり、油が酸化して味が落ちてしまったりする原因になります。 また、パック内の水分が霜となり、品質の劣化につながることもあります。
もし未開封のまま冷凍したい場合は、一度パックから取り出し、前述した「基本の冷凍保存手順」に沿って冷凍するのが最適です。
どうしても時間がないという場合は、パックごと冷凍用保存袋に入れて、できるだけ空気を抜いてから冷凍する方法もあります。しかし、これはあくまで応急処置と考え、早めに使い切るようにしましょう。美味しさを保つためには、ひと手間かけて正しく冷凍することが大切です。正しい手順で冷凍することで、解凍後も美味しく食べることができます。
調理後「煮物」などを冷凍する場合
厚揚げを使った煮物は、多めに作って冷凍しておくと、忙しい日の夕食やお弁当のおかずに大変便利です。 冷凍することで、さらに味が染み込み、美味しくなるというメリットもあります。
煮物を冷凍する際のポイントは以下の通りです。
- 粗熱をしっかりとる: 煮物が温かいまま冷凍庫に入れると、庫内の温度が上がり、他の冷凍食品の品質を損なう原因になります。 また、ゆっくりと凍ることで味や食感が悪くなる可能性もあります。調理後は、鍋ごと氷水につけるなどして、しっかりと粗熱を取りましょう。
- 小分けにして保存する: 1食分ずつ小分けにして冷凍用保存容器や冷凍用保存袋に入れます。こうすることで、食べる分だけを解凍でき、無駄がありません。お弁当用のカップに入れてから保存容器に並べると、さらに便利です。
- 具材に注意する: 厚揚げと一緒に煮込む具材の中には、冷凍に不向きなものもあります。例えば、こんにゃくやじゃがいもは、冷凍すると食感が大きく変わってしまうことがあります。これらの食材は避けるか、冷凍しても食感が変わりにくい里芋などを使うと良いでしょう。
冷凍した煮物は、電子レンジで温めるか、鍋に移して再加熱すればすぐに食べられます。味が染み込んだ厚揚げは、作りたてとはまた違った美味しさを楽しめますよ。
「焼いた」厚揚げを冷凍する場合
シンプルに焼いただけの厚揚げも、冷凍保存が可能です。フライパンやグリルで香ばしく焼いた厚揚げは、冷凍しておけば、解凍してすぐに一品として食卓に出せます。
焼いた厚揚げを冷凍する手順は以下の通りです。
- 厚揚げを焼く: フライパンや魚焼きグリルで、厚揚げの両面に焼き色がつくまで焼きます。この時、味付けはせずにシンプルに焼くのがおすすめです。食べる際に、醤油や生姜、ネギなどお好みの薬味で楽しめます。
- 粗熱をとる: 煮物と同様に、焼いた後もしっかりと粗熱を取ることが重要です。熱いままラップをすると、蒸気が水滴となって付着し、品質劣化の原因になります。
- ラップで包み、保存袋へ: 粗熱が取れたら、1枚ずつラップでぴったりと包みます。その後、冷凍用保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫で保存します。食べやすい大きさにカットしてから冷凍しても良いでしょう。
冷凍した焼き厚揚げは、電子レンジやトースターで温め直すだけで、手軽に焼き立ての風味を再現できます。忙しい朝のお弁当のおかずや、お酒のおつまみとしても重宝します。
厚揚げを美味しく食べるための解凍方法

冷凍した厚揚げは、解凍方法次第でその後の美味しさが大きく変わります。調理方法や時間に合わせて最適な解凍方法を選ぶことが、冷凍厚揚げを最大限に活用するコツです。ここでは、おすすめの解凍方法から、時間がない時の時短テクニック、そして解凍後の食感の変化を逆手にとって美味しく食べるコツまで、詳しくご紹介します。
おすすめの解凍方法「自然解凍」「冷蔵庫解凍」
厚揚げ本来の食感に少しでも近づけたい場合や、焼いたり炒めたりして厚揚げそのものの食感を楽しみたい料理に使う場合は、時間をかけてゆっくりと解凍する方法がおすすめです。
冷蔵庫解凍は、最もおすすめの解凍方法です。 使う半日〜1日前に、冷凍庫から冷蔵庫に移しておくだけで、ゆっくりと均一に解凍できます。 この方法のメリットは、温度変化が少ないため、ドリップ(旨味成分を含んだ水分)の流出を最小限に抑えられ、食感の劣化を防げる点です。 解凍後は、キッチンペーパーで表面の水分を軽く拭き取ってから調理に使いましょう。 このとき、強く絞ると水分がなくなりパサパサになってしまうので注意が必要です。
自然解凍(常温解凍)は、冷蔵庫解凍よりも短時間で解凍できますが、特に夏場など気温が高い時期は、食材が傷みやすくなるため注意が必要です。涼しい場所に置くなど、衛生管理に気を配りながら行いましょう。
| 解凍方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 冷蔵庫解凍 | ・ドリップが少なく、食感を保ちやすい ・衛生的 |
・時間がかかる(半日〜1日) |
| 自然解凍 | ・冷蔵庫解凍より早い | ・気温が高いと傷みやすい |
時間がない時の解凍方法「電子レンジ」「凍ったまま調理」
すぐに料理に使いたい、解凍する時間がないという時には、電子レンジを使ったり、凍ったまま調理したりする方法が便利です。
電子レンジでの解凍は、最もスピーディーな方法です。 ラップに包んだままの冷凍厚揚げを耐熱皿に乗せ、電子レンジの解凍モードや、低いワット数(200Wなど)で様子を見ながら加熱します。 ただし、加熱しすぎると厚揚げが硬くなったり、加熱ムラができて一部だけが熱くなってしまったりすることがあるので注意が必要です。 少し凍っているくらいで取り出し、余熱で解凍するのがコツです。
凍ったまま調理する方法は、特に煮物や汁物におすすめです。 凍ったままの厚揚げを煮汁の中に入れるだけで、解凍の手間が一切かかりません。 冷凍によってスポンジ状になっているため、煮汁をぐんぐん吸い込み、短時間で味がしっかり染み込みます。 ただし、凍った具材を入れると一時的に煮汁の温度が下がるため、通常のレシピよりも少し長めに加熱することを心がけましょう。 炒め物に使う場合も、凍ったままフライパンに入れ、他の具材と一緒に炒めながら解凍と調理を同時に行うことができます。
解凍後の食感の変化と美味しく食べるコツ
厚揚げを冷凍すると、内部の水分が凍って膨張し、豆腐の組織が変化します。そのため、解凍後には食感に変化が見られます。
具体的には、水分が抜けて少しパサついた食感になり、高野豆腐のように「す」が入ったようなスポンジ状になります。 生の厚揚げのような、なめらかでプルプルとした食感は多少失われてしまいます。
しかし、この食感の変化はデメリットだけではありません。むしろ、この特性を活かすことで、料理がもっとおいしくなるのです。 スポンジ状になった厚揚げは、味が染み込みやすい状態になっています。 そのため、煮物や汁物、おでんなどのだしを味わう料理に使うと、生の厚揚げ以上にだしをたっぷりと含んでジューシーな仕上がりになります。
また、水分が抜けているため、炒め物に使うと水っぽくなりにくく、カリッとした食感に仕上げやすいというメリットもあります。肉の代わりに使えば、ヘルシーでボリュームのある一品になります。食感の変化を理解し、それに合った調理法を選ぶことが、冷凍厚揚げを美味しく食べる最大のコツと言えるでしょう。
冷凍厚揚げをフル活用!おすすめレシピ3選

冷凍した厚揚げは、味が染み込みやすいという最大のメリットを活かした料理にぴったりです。ここでは、冷凍庫にストックしておいた厚揚げを使って手軽に作れる、おいしくて満足感のあるおすすめレシピを3つご紹介します。
味しみ抜群!冷凍厚揚げの煮物
冷凍厚揚げの真価が最も発揮されるのが煮物です。 スポンジ状の厚揚げが、煮汁をたっぷりと吸い込んで、口に入れた瞬間にじゅわ〜っと旨味が広がります。
【材料(2人分)】
- 冷凍厚揚げ:1枚(約200g)
- にんじん:1/2本
- しいたけ:2枚
- だし汁:200ml
- 醤油:大さじ2
- みりん:大さじ2
- 砂糖:大さじ1
【作り方】
- にんじんは乱切りに、しいたけは石づきを取って半分に切ります。
- 鍋にだし汁、醤油、みりん、砂糖を入れて火にかけ、煮立ったら凍ったままの厚揚げ、にんじん、しいたけを加えます。
- 再び煮立ったら落し蓋をし、弱火で15分ほど、にんじんが柔らかくなるまで煮ます。
- 火を止めて一度冷ますと、さらに味が染み込みます。食べる前にもう一度温め直してください。
冷凍厚揚げは味が染み込みやすいので、味付けは少し控えめでも十分おいしく仕上がります。 お好みで、大根や鶏肉などを加えても美味しくいただけます。
カリカリ食感がたまらない!豚肉と厚揚げの炒め物
水分が抜けている冷凍厚揚げは、炒め物にすると表面がカリッと仕上がりやすいのが特徴です。豚肉の旨味と甘辛いタレが絡んで、ご飯が進むこと間違いなしの一品です。
【材料(2人分)】
- 冷凍厚揚げ:1枚(約200g)
- 豚バラ薄切り肉:100g
- ピーマン:2個
- ごま油:大さじ1
- 【A】醤油:大さじ1.5
- 【A】みりん:大さじ1
- 【A】酒:大さじ1
- 【A】おろし生姜:小さじ1/2
【作り方】
- 冷凍厚揚げは電子レンジで半解凍し、8等分に切ります。豚肉は5cm幅に、ピーマンは乱切りにします。
- フライパンにごま油を熱し、豚肉を炒めます。色が変わってきたら厚揚げを加え、表面に焼き色がつくまで炒めます。
- ピーマンを加えてさっと炒め合わせたら、混ぜておいた【A】を回し入れ、全体に絡めながら炒めます。
厚揚げをしっかりと焼き付けることで、外はカリカリ、中はふんわりとした食感が楽しめます。キャベツや玉ねぎなど、冷蔵庫にある野菜を加えてもOKです。
ボリューム満点!厚揚げのそぼろあんかけ
優しい味わいのそぼろあんかけは、子どもから大人まで楽しめる一品です。冷凍厚揚げを使えば、あんの旨味をたっぷりと吸い込んで、淡白な厚揚げがごちそうに変わります。
【材料(2人分)】
- 冷凍厚揚げ:1枚(約200g)
- 鶏ひき肉:100g
- だし汁:150ml
- 【B】醤油:大さじ1
- 【B】みりん:大さじ1
- 【B】砂糖:小さじ1
- 水溶き片栗粉:片栗粉小さじ1+水小さじ2
- おろし生姜:少々
【作り方】
- 冷凍厚揚げは冷蔵庫で解凍し、キッチンペーパーで水気を拭き取ってから食べやすい大きさに切ります。
- 小鍋にだし汁と鶏ひき肉、おろし生姜を入れて火にかけ、ひき肉をほぐしながら加熱します。
- ひき肉に火が通ったら、【B】の調味料を加えて味を調えます。
- 一度火を止め、水溶き片栗粉を回し入れ、よく混ぜてから再び火にかけ、とろみがついたらあんの完成です。
- 器に盛った厚揚げに、熱々のあんをたっぷりとかけてください。お好みで刻みネギを散らしても良いでしょう。
まとめ:厚揚げの冷凍保存で、もっと便利でおいしい食卓へ

この記事では、厚揚げの冷凍保存について、そのメリットから具体的な方法、解凍のコツ、そして活用レシピまで幅広くご紹介しました。
厚揚げは冷凍することで、保存期間が約1ヶ月に延びるだけでなく、味が染み込みやすくなるという調理上のメリットも生まれます。冷凍前の油抜きというひと手間を加えることで、油臭さを防ぎ、よりおいしく保存することができます。
解凍方法は、じっくり時間をかける冷蔵庫解凍から、時間がない時の電子レンジ解凍、そして凍ったまま調理する方法まで、用途に合わせて選ぶことができます。冷凍によって生まれる高野豆腐のような食感の変化も、煮物や炒め物などに活かすことで、新たな美味しさを発見できるでしょう。
これまで厚揚げを使い切れずに困っていた方も、この記事を参考にぜひ冷凍保存を試してみてください。特売日にまとめ買いをしたり、調理の手間を省くためのストックとして活用したりと、厚揚げがあなたの食生活をより豊かで便利なものにしてくれるはずです。



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