大雨警報の基準は何mm?発表の仕組みと取るべき行動を解説

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梅雨や台風の時期になると、テレビやスマートフォンで「大雨警報」という言葉を耳にする機会が増えます。この警報が発表されると、重大な災害が発生する可能性があるため、注意が必要です。しかし、「具体的にどれくらいの雨が降ったら発表されるの?」「注意報とは何が違うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

大雨警報は、単に雨の量(mm)だけで判断されるわけではありません。実は、土の中にどれだけ水分が溜まっているかを示す「土壌雨量指数」などの専門的な指標が大きく関係しています。この記事では、大雨警報がどのような基準で発表されるのか、その仕組みを分かりやすく解説します。また、警報が発表された際に私たちが取るべき行動についても詳しくご紹介しますので、いざという時のために備えておきましょう。

大雨警報の基準は何mm?発表の仕組みを解説

大雨警報は、大雨によって重大な土砂災害や浸水害が起こるおそれがあると予想される場合に気象庁から発表されます。 多くの方が「1時間に〇〇mmの雨が降ったら警報」というような、単純な雨量の基準をイメージするかもしれません。しかし、実際の発表基準はもっと複雑で、複数の指標を組み合わせて判断されています。

警報の発表には「土壌雨量指数」が使われる

大雨警報(土砂災害)の発表に大きく関わっているのが「土壌雨量指数」です。これは、降った雨が土壌中にどれだけ水分として溜まっているかを示す数値です。
土砂災害は、現在降っている雨の強さだけでなく、それまでに降った雨が地面にどれだけ蓄積しているかが大きく影響します。 例えば、同じ強さの雨でも、乾燥した地面と、すでにたくさんの雨を吸って湿った地面とでは、土砂災害の危険度が全く異なります。

土壌雨量指数は、過去の降雨データから作られた「タンクモデル」という手法を用いて計算されます。 この指数が、地域ごとに過去の土砂災害発生時のデータを基に設定された基準値に達すると予想された場合に、大雨警報(土砂災害)が発表されるのです。

そのため、たとえ雨が止んでいても、土壌中の水分量が依然として多い状態であれば、土砂災害の危険性が高いと判断され、大雨警報が継続されることがあります。

「流域雨量指数」も洪水害の危険度を示す指標

洪水に関する警報(洪水警報)では「流域雨量指数」という指標が用いられます。これは、河川の流域全体に降った雨が、どれだけ下流に影響を与えるかを示した数値です。
川の増水や氾濫は、自分のいる場所で雨が降っていなくても、上流で大雨が降ることによって引き起こされることがあります。 流域雨量指数は、こうした上流域の降雨量や、雨水が川に集まり下流へ流れていく時間の差を考慮して、洪水の危険度を算出しています。
この指数が、地域ごと・河川ごとに設定された基準値に達すると予想された場合に、洪水警報が発表されます。これにより、より精度の高い洪水予測が可能になりました。

「表面雨量指数」は浸水害の危険度を示す

都市部などで注意が必要なのが、短時間の強い雨による浸水害です。この危険度を示すのが「表面雨量指数」です。
これは、降った雨が地面にしみこんだり川に流れ出したりせず、地表面にどれだけ溜まっているかを示した数値です。 アスファルトやコンクリートで覆われた都市部では、雨水が地面にしみこみにくく、短時間で道路などが冠水してしまうことがあります。
表面雨量指数は、このような都市型の浸水害のリスクを評価するために用いられ、大雨警報(浸水害)の発表基準の一つとなっています。

大雨警報と大雨注意報の違いとは?

気象庁が発表する情報には、「警報」のほかに「注意報」や「特別警報」があります。これらの違いを正しく理解し、危険度に応じた行動をとることが重要です。

警報・注意報・特別警報の役割の違い

気象庁から発表される情報は、危険度の高さに応じて大きく3つの段階に分かれています。

種類 危険度 目的
注意報 災害が起こるおそれがある場合に注意を呼びかける
警報 重大な災害が起こるおそれがある場合に警戒を呼びかける
特別警報 特大 警報の発表基準をはるかに超える現象が予想され、重大な災害の危険性が著しく高い場合に最大級の警戒を呼びかける

注意報は、災害が発生する可能性がある段階で発表されます。 例えば、大雨注意報は1時間に30mm以上の雨が予想される場合などに発表されます。
警報は、さらに危険度が高まり、重大な災害が発生する可能性が高い場合に発表されます。 大雨警報の場合、1時間に50mm以上の非常に激しい雨や、前述の土壌雨量指数などが基準値に達すると予想された場合に発表されます。
そして特別警報は、数十年に一度レベルの、これまでに経験したことのないような甚大な災害が差し迫っている、異常な事態であることを示します。 特別警報が発表された場合は、ただちに命を守るための最善の行動をとる必要があります。

警戒レベルとの関係性

災害の危険度と取るべき行動を分かりやすく伝えるため、防災情報は5段階の「警戒レベル」に整理されています。

警戒レベル 相当する情報(例) 住民がとるべき行動
レベル5:緊急安全確保 大雨特別警報、氾濫発生情報 命の危険、直ちに安全確保! すでに災害が発生している可能性が極めて高い状況。
レベル4:避難指示 土砂災害警戒情報、氾濫危険情報 危険な場所から全員避難! 自治体からの避難指示に従い、危険な場所から避難する。
レベル3:高齢者等避難 大雨警報、洪水警報 高齢者や避難に時間がかかる人は避難! その他の人も避難の準備を始める。
レベル2:避難行動の確認 大雨注意報、洪水注意報 避難に備え、ハザードマップ等で避難行動を確認!
レベル1:災害への心構え 早期注意情報 最新の情報に注意し、災害への心構えを高める。
大雨警報警戒レベル3に相当し、高齢者や体の不自由な方など、避難に時間のかかる方は避難を開始する段階です。 それ以外の方も、いつでも避難できるように準備を整える必要があります。 決して「まだ警報だから大丈夫」と油断せず、早めの行動を心がけましょう。

これらの情報は、必ずしもレベル1から順番に発表されるとは限りません。状況が急変することもあるため、常に最新の情報を確認することが大切です。

警報・注意報の種類と目的

大雨に関する警報や注意報には、災害の種類に応じていくつかの種類があります。

大雨警報(土砂災害): 大雨によってがけ崩れや土石流などの土砂災害の危険度が高まった場合に発表されます。
大雨警報(浸水害): 短時間の激しい雨などによって、建物や道路が水につかる浸水害の危険度が高まった場合に発表されます。
洪水警報: 大雨により河川が増水し、洪水による重大な災害が発生するおそれがある場合に発表されます。

気象庁は、特に警戒すべき災害を「大雨警報(土砂災害、浸水害)」のように標題に明記して発表します。 これにより、どのような災害に備えるべきかが明確になります。

なぜ地域によって大雨警報の基準が違うの?

大雨警報の発表基準は、全国一律ではありません。市町村ごとに異なる基準値が設定されています。 隣の市では警報が出ているのに、自分の市では発表されていない、という経験をしたことがある方もいるかもしれません。これには、それぞれの地域が持つ特性が関係しています。

地域の地形や地質が関係している

災害の起こりやすさは、その土地の地形や地質に大きく左右されます。例えば、山が多く急な斜面が多い地域は、少ない雨でも土砂災害が発生しやすい傾向があります。一方で、平野部では河川の氾濫による洪水や、土地の低さによる浸水害のリスクが高まります。
このように、地域ごとの災害の起こりやすさを考慮して、警報の基準値はきめ細かく設定されています。 気象庁は、それぞれの市町村の地形や地質の特徴を分析し、災害リスクに応じた基準を設けているのです。

過去の災害履歴も基準に影響

警報の基準値を設定する際には、*過去にその地域で発生した災害の履歴も重要な要素となります。過去にどのような雨の降り方で、どれくらいの規模の災害が発生したのかを詳細に分析します。

例えば、「この地域では、土壌雨量指数がこの値を超えると土砂災害が頻発している」といった過去のデータに基づき、より実践的で信頼性の高い基準値が定められています。 この基準は、新たな災害の発生や宅地開発などによる環境の変化を踏まえて、随時見直しが行われることもあります。

自分の住む地域の基準を確認する方法

自分が住んでいる地域の警報発表基準は、気象庁のホームページで確認することができます。
「気象庁 警報・注意報発表基準一覧表」のページから、お住まいの都道府県を選択すると、各市町村の警報・注意報の基準値(土壌雨量指数、流域雨量指数、表面雨量指数など)が一覧で表示されます。

普段から自分の住んでいる地域の基準を知っておくことで、ニュースで報じられる雨量や指数の意味をより深く理解し、防災意識を高めることにつながります。また、自治体が発行しているハザードマップと合わせて確認し、自宅周辺の災害リスクを把握しておくことが非常に重要です。

大雨警報が発表されたらどう行動する?

大雨警報が発表されたら、それは重大な災害が起こるおそれがあるというサインです。 油断せず、速やかに行動を開始しましょう。具体的に何をすべきか、順を追って解説します。

まずは最新の情報を確認する

テレビのデータ放送、ラジオ、気象庁のウェブサイト「キキクル(危険度分布)」、スマートフォンの防災アプリなどを活用し、常に最新の気象情報や避難情報を入手しましょう。
特に「キキクル(危険度分布)」は、土砂災害や浸水害、洪水の危険度を地図上で色分けして表示してくれるため、今いる場所の危険度を一目で把握するのに非常に役立ちます。 また、市町村から発表される避難情報(警戒レベル3「高齢者等避難」や警戒レベル4「避難指示」など)には特に注意を払いましょう。

安全な場所への避難を検討する

大雨警報は、警戒レベル3に相当します。高齢者や障害のある方、乳幼児のいるご家庭など、避難に時間がかかる方は、この段階で避難を開始してください。
それ以外の方も、避難の準備を整え、危険を感じたら早めに自主的な避難を検討しましょう。 避難とは、指定された避難所へ行くだけではありません。
安全な場所にある親戚や知人の家へ移動することも有効な避難行動です。 また、すでに周囲の状況が悪化して避難所への移動が危険な場合は、無理に外へ出ず、家の中のより安全な場所(2階以上、崖から離れた部屋など)へ移動する「垂直避難」も重要です。

屋外での行動は控える

大雨警報が発表されている状況では、屋外での行動は非常に危険です。

  • 河川や用水路には絶対に近づかない:急に増水するおそれがあります。
  • 崖や急な斜面の近くには行かない:土砂災害に巻き込まれる危険があります。
  • アンダーパスなど低い土地は通らない:道路が冠水し、車が水没する危険があります。
  • 田んぼや畑の様子を見に行かない:用水路との境が見えなくなり、転落する事故が多発しています。

不要不急の外出は避け、安全な屋内で過ごすことを徹底してください。

避難時の注意点

もし避難が必要になった場合は、以下の点に注意して行動しましょう。

  • 動きやすい服装で:靴はスニーカーなど、履き慣れたものが安全です。長靴は水が入ると重くなり、動きにくくなるため避けましょう。
  • 持ち物は最小限に:両手が使えるように、非常用持ち出し袋はリュックサックに入れるのが基本です。
  • 複数人で行動する:単独での行動は避け、家族や近所の人と声をかけあって避難しましょう。
  • 明るいうちに避難する:夜間の避難は危険が伴います。暗くなる前に避難を完了するのが理想です。

すでに道路が冠水している場合は、マンホールや側溝が見えにくく危険なため、棒などで足元を確認しながら慎重に移動してください。

まとめ:大雨警報の基準を知り、早めの防災行動を

この記事では、「大雨警報基準 mm」というキーワードを基に、大雨警報が発表される仕組みや、私たちが取るべき行動について解説しました。

大雨警報は、単に降雨量(mm)だけで判断されるのではなく、「土壌雨量指数」や「流域雨量指数」といった専門的な指標に基づいて、地域ごとの災害リスクを考慮して発表されます。そして、大雨警報は警戒レベル3に相当し、高齢者などが避難を始めるべき段階であることを理解しておくことが重要です。

警報が発表されたら、まずは最新の情報を確認し、ハザードマップで自宅周辺の危険性を再確認しましょう。そして、危険が迫る前に、ためらわずに避難行動に移すことが、あなたとあなたの大切な人の命を守ることにつながります。日頃から防災意識を高め、いざという時に備えておきましょう。

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