ピザやグラタン、トーストなど、様々な料理でおなじみの「ピザ用チーズ」と「とろけるチーズ」。スーパーのチーズ売り場に行くと、細かく刻まれたシュレッドタイプのチーズや、一枚ずつ包装されたスライスチーズなど、たくさんの種類が並んでいますよね。「ピザ用チーズ」と「とろけるチーズ」、どちらも加熱するととろりとして美味しいですが、この二つに明確な違いはあるのでしょうか?
実は、「ピザ用チーズ」は主に料理の用途から来た名前で、「とろけるチーズ」はチーズが持つ性質を表す名前です。そのため、これらは全く別の分類というわけではありません。しかし、一般的に「ピザ用チーズ」として売られているものと、「とろける(スライス)チーズ」として売られているものでは、使われているチーズの種類や形状が異なり、それぞれに適した使い方があります。
この記事では、ピザ用チーズととろけるチーズの具体的な違いから、原料となるチーズの種類、料理に合わせた上手な使い分け方、さらには代用する際のポイントまで、わかりやすく解説していきます。この違いを知れば、あなたの料理がもっと美味しく、楽しくなること間違いなしです。
ピザ用チーズととろけるチーズの根本的な違い

スーパーでよく見かける「ピザ用チーズ」と「とろけるチーズ」。どちらも加熱するととろりと溶けるのが魅力ですが、その正体にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、その名称の意味から原材料、そしてチーズの大きな分類である「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の違いまで、基本的なポイントを解説します。
「用途名」と「性質名」という言葉の違い
つまり、「ピザ用チーズ」は加熱するととろける性質を持っているため、「とろけるチーズ」の一種であると言えます。
一般的に、スーパーなどで「ピザ用チーズ」として販売されているのは、細かく刻まれたシュレッドチーズを指すことが多いです。 これはピザやグラタンなどのオーブン料理に使いやすく、熱が均一に加わることで美しく溶け、焼き色が付くように作られています。
それに対して、「とろけるチーズ」として売られている商品には、シュレッドチーズだけでなく、一枚ずつ包装されたスライスチーズも含まれます。 スライスタイプは、食パンにのせてトーストしたり、ハンバーグにのせたりと、手軽に使えるのが魅力です。
原材料となるチーズの種類の違い
「ピザ用チーズ」と「とろけるチーズ」は、使われているチーズの種類にも違いがあります。
ピザ用チーズとして販売されているシュレッドチーズは、多くの場合、数種類のナチュラルチーズがブレンドされています。 よく使われるのは、以下のようなチーズです。
- モッツァレラチーズ: クセがなく、加熱するとよく伸びるのが最大の特徴です。ピザ特有の「糸引き」は、主にこのチーズによるものです。
- ゴーダチーズ: マイルドでコクがあり、どんな食材とも相性が良い万能なチーズです。
- チェダーチーズ: 濃厚な風味と鮮やかなオレンジ色が特徴で、料理に深いコクと美しい焼き色を与えます。
これらのチーズをブレンドすることで、伸びの良さ、豊かな風味、美味しそうな焼き色のバランスが取れた、ピザに最適なチーズが作られているのです。
一方で、とろけるスライスチーズの多くは、プロセスチーズから作られています。 プロセスチーズは、1種類または数種類のナチュラルチーズを加熱して溶かし、乳化剤などを加えて再び成形したものです。 風味が均一で保存性が高いのが特徴です。
加熱方法で分類されるナチュラルチーズとプロセスチーズ
チーズは、製造方法によって大きく「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2種類に分けられます。 この違いを理解することが、ピザ用チーズととろけるチーズの違いをより深く知るためのポイントになります。
ナチュラルチーズ
生乳などを乳酸菌や酵素で固め、発酵・熟成させて作られるチーズです。 モッツァレラやゴーダ、カマンベールなど、世界中に1000種類以上あると言われています。 乳酸菌が生きているため、熟成が進むにつれて風味や食感が変化していくのが特徴です。 加熱するとタンパク質の構造が緩み、溶けたり伸びたりしやすい性質を持っています。
プロセスチーズ
ナチュラルチーズを原料に、乳化剤などを加えて加熱溶解し、再び成形したものです。 製造工程で加熱処理を行うため、乳酸菌は死滅し、熟成が進むことはありません。 そのため、品質が安定しており、保存性に優れています。 加熱しても油が分離しにくく、なめらかに溶けるのが特徴ですが、ナチュラルチーズほどの伸びは期待できないことが多いです。
一般的に「ピザ用チーズ」はナチュラルチーズ100%またはナチュラルチーズを主体としたものが多く、「とろけるスライスチーズ」はプロセスチーズが多い、と覚えておくと良いでしょう。
| チーズの種類 | ナチュラルチーズ | プロセスチーズ |
|---|---|---|
| 主な原料 | 生乳、乳酸菌、酵素 | ナチュラルチーズ、乳化剤など |
| 製造方法 | 発酵・熟成させる | ナチュラルチーズを加熱・溶解・再成形 |
| 乳酸菌 | 生きている(熟成が進む) | 死滅している(熟成しない) |
| 特徴 | 風味豊か、種類が豊富、加熱でよく伸びる | 風味が均一、保存性が高い、なめらかに溶ける |
| 代表例 | モッツァレラ、ゴーダ、チェダー、カマンベール | スライスチーズ、ベビーチーズ、6Pチーズなど |
見た目や食感はどう違う?特徴を徹底比較

ピザ用チーズととろけるチーズは、原材料や製法が違うことで、見た目や食感、風味にもそれぞれ特徴が生まれます。ここでは、料理の仕上がりを大きく左右する「伸び」「風味」「焼き色」の3つのポイントに注目して、両者の違いを詳しく比較していきます。
伸びと糸引きの違い
料理を温かいうちに口へ運んだ時の、チーズの「びよーん」と伸びる食感は格別ですよね。この伸びや糸引きの良さは、主に「ピザ用チーズ」に軍配が上がります。
特に、ピザ用チーズの多くにブレンドされているモッツァレラチーズは、加熱することで特有の弾力が生まれ、豊かな糸引きを実現します。 ピザやグラタンの上で、こんがり焼けたチーズがとろりと伸びるあの食感は、このモッツァレラチーズのおかげなのです。
一方、プロセスチーズから作られることが多いとろけるスライスチーズは、加熱するとなめらかに溶けますが、ピザ用チーズほどの強い伸びや糸引きはあまりありません。 これは、プロセスチーズの製造過程でナチュラルチーズを一度加熱溶解し、乳化剤を加えることで組織が均一になっているためです。パンにのせて焼くと全体にまんべんなく広がり、クリーミーな食感を楽しむことができます。
風味とコクの違い
チーズの味わいを決める風味とコクにも、それぞれ違いがあります。
複数のナチュラルチーズをブレンドして作られるピザ用チーズは、複雑で奥行きのある風味と豊かなコクが特徴です。 例えば、マイルドなゴーダチーズのコク、芳醇なチェダーチーズの香り、そしてミルク感あふれるモッツァレラの味わいが一体となることで、料理全体の味を引き立ててくれます。 チーズの種類や配合割合によって様々な味わいの商品が販売されているのも魅力の一つです。
対して、とろけるスライスチーズは、加熱処理によって風味を均一にしているため、クセが少なくマイルドな味わいのものが多いです。 どんな食材とも合わせやすく、チーズの風味を主張させすぎずに、クリーミーなコクを加えたい時に便利です。子どもから大人まで、誰もが食べやすい味わいと言えるでしょう。
焼き色の付き方の違い
オーブンで焼き上げた時のこんがりとした美しい焼き色も、チーズ料理の美味しさを引き立てる重要な要素です。
ピザ用チーズは、ピザやグラタンに最適な焼き色が付くように、チーズの種類がブレンドされています。特に、チェダーチーズやゴーダチーズといった熟成タイプのチーズは、加熱によって美しいキツネ色になりやすく、見た目にも食欲をそそる仕上がりになります。細かく刻まれたシュレッド状であるため、表面積が広く、熱を受けやすいため、均一で香ばしい焼き色が付きやすいのも特徴です。
とろけるスライスチーズも加熱すれば焼き色は付きますが、ピザ用チーズに比べると穏やかです。一枚が均一な厚さであるため、部分的に焦げ目がつくというよりは、全体がふつふつと溶けてなめらかな状態になります。トーストのように短時間で仕上げる料理では、美しい焼き色をつけるというよりは、とろりとした食感を加える役割の方が大きいでしょう。
料理に合わせた上手な使い分け方

ピザ用チーズととろけるチーズ、それぞれの特徴がわかったところで、次は実際の料理でどのように使い分ければ良いのかを見ていきましょう。料理の目的や求める食感に合わせてチーズを選ぶことで、いつものメニューがワンランクアップします。
ピザ用チーズがおすすめの料理
ピザ用チーズの最大の特徴である「豊かな風味」「美しい焼き色」「抜群の伸び」を活かせるのは、やはりオーブンなどを使って高温でじっくり加熱する料理です。
- ピザ・グラタン・ドリア: これらはピザ用チーズの王道レシピと言えるでしょう。 数種類のチーズがブレンドされていることで生まれる深いコクと、こんがりとした香ばしい焼き色が、料理の完成度を格段に上げてくれます。熱々のチーズがとろーり伸びる食感は、何物にも代えがたい魅力です。
- チーズタッカルビ・UFOチキンフォンデュ: 韓国料理でもピザ用チーズは大活躍します。 甘辛い味付けの具材に、たっぷりのチーズを絡めて食べるこれらの料理は、チーズの伸びとコクが重要なポイントになります。
- オニオングラタンスープ: 熱々のスープの上にバゲットをのせ、ピザ用チーズをたっぷりかけてオーブンで焼き上げれば、レストランのような一品に。スープが染みたバゲットと、香ばしく溶けたチーズの組み合わせが絶妙です。
- チーズ焼きカレー: 残ったカレーにかけるだけでも立派なごちそうになります。カレーのスパイシーな風味と、チーズのまろやかで濃厚な味わいがよく合います。
とろけるチーズがおすすめの料理
手軽さが魅力のとろけるスライスチーズは、忙しい朝や、さっと一品作りたい時に非常に便利です。一枚ずつ包装されているため、使いたい分だけ無駄なく使えるのも嬉しいポイントです。
- チーズトースト: 食パンにのせてトースターで焼くだけで、美味しいチーズトーストが完成します。 ピザ用チーズのように散らばらないので、後片付けも簡単です。
- ハンバーグ・オムレツのトッピング: 熱々のハンバーグやオムレツの上に一枚のせるだけで、とろりとしたチーズがソースのように絡み、コクと満足感をプラスしてくれます。
- サンドイッチ・ホットサンド: パンにハムや野菜と一緒に挟んで焼けば、チーズがとろけて具材をまとめ、美味しさを引き立ててくれます。
- スープやラーメンに浮かべる: 温かいスープやラーメンに一枚加えるだけで、クリーミーでまろやかな味わいに変化します。
「手軽にチーズのコクを加えたい」「洗い物を増やしたくない」といった場面では、とろけるスライスチーズが最適です。
どちらのチーズも使える万能レシピ
もちろん、レシピによってはどちらのチーズを使っても美味しく作れるものもたくさんあります。どちらを使うかで、少し違った食感や風味を楽しむことができます。
- 卵焼き・オムレツ: 卵液に混ぜ込む場合、細かく刻んだスライスチーズでも、シュレッド状のピザ用チーズでもOKです。 ピザ用チーズを使えばよりチーズの風味や伸びを感じられ、スライスチーズなら全体に均一に混ざり、なめらかな仕上がりになります。
- ポテトサラダ: 温かいマッシュポテトに混ぜ込むと、余熱でチーズが溶けてコクがアップします。
- リゾット: 仕上げに加えることで、クリーミーで濃厚な味わいになります。ピザ用チーズなら糸引く食感が楽しめ、スライスチーズならちぎって加えるだけで手軽に作れます。
どちらのチーズを使うか迷ったときは、「しっかりとしたチーズの伸びと風味を楽しみたいならピザ用チーズ」「手軽にまろやかなコクを加えたいならとろけるスライスチーズ」と覚えておくと、選びやすいでしょう。
もっと知りたい!チーズの豆知識

ピザ用チーズととろけるチーズの違いがわかってくると、さらに細かい疑問が湧いてくるかもしれません。ここでは、「シュレッドチーズ」との関係や、チーズの代用、そして美味しく保つための保存方法など、知っておくと便利な豆知識をご紹介します。
「シュレッドチーズ」との関係は?
スーパーのチーズ売り場で、「ピザ用チーズ」の隣に「シュレッドチーズ」という名前の商品が並んでいるのを見たことはありませんか?この二つは、一体何が違うのでしょうか。
「シュレッド(shred)」とは、英語で「細かく刻む、裂く」という意味です。つまり、「シュレッドチーズ」とは、チーズを細かく刻んだ形状そのものを指す言葉です。
一般的に「ピザ用チーズ」として売られているチーズは、このシュレッド状になっているものがほとんどです。そのため、「ピザ用チーズ」≒「シュレッドチーズ」と考えて差し支えありません。
ただし、厳密に言うと、すべてのシュレッドチーズがピザ用というわけではありません。例えば、サラダのトッピング用に作られた加熱不要のシュレッドチーズや、チェダーチーズだけ、ゴーダチーズだけといった単一の種類のチーズをシュレッドしたものも販売されています。
「ピザ用」と書かれているものは、ピザに最適な伸びや焼き色、風味になるように数種類のチーズがブレンドされていることが多い、と覚えておくと良いでしょう。
代用はできる?注意点も解説
「ピザを作りたいのに、ピザ用チーズがない!」「トーストにとろけるスライスチーズをのせたいのに、切らしてしまった…」そんな時、お互いを代用することは可能なのでしょうか。
結論から言うと、代用は可能ですが、仕上がりには違いが出ます。
ピザ用チーズの代わりに、とろけるスライスチーズを使う場合
スライスチーズを細かくちぎったり、包丁で刻んだりしてピザ生地の上に散らせば、ピザ用チーズのように使うことができます。 ただし、前述の通り、スライスチーズはプロセスチーズが主流のため、ナチュラルチーズ100%のピザ用チーズに比べて、伸びや糸引き、風味の豊かさは控えめになります。 仕上がりは、よりマイルドでクリーミーな印象になるでしょう。
とろけるスライスチーズの代わりに、ピザ用チーズを使う場合
食パンにピザ用チーズをのせてトーストすれば、美味しいチーズトーストになります。 スライスチーズよりもチーズの風味が豊かで、香ばしい焼き色が付きやすいのが特徴です。ただし、チーズがパンからこぼれ落ちやすいので、アルミホイルを敷くなどの工夫をすると良いでしょう。ハンバーグにのせる場合も、溶けたチーズが流れ落ちやすい点に注意が必要です。
開封後の正しい保存方法
ピザ用チーズ(シュレッドチーズ)は、一度に使い切れずに残ってしまうことも多いですよね。チーズはデリケートな食品なので、正しく保存しないとカビが生えたり、風味が落ちたりしてしまいます。
開封後のピザ用チーズを美味しく長持ちさせるコツは冷凍保存です。
- 小分けにする: 一度に使う分量ずつ、ラップで薄く平らに包みます。こうすることで、使いたい分だけすぐに取り出せて便利です。
- 密閉する: ラップで包んだチーズを、さらにフリーザーバッグなどに入れて、しっかりと空気を抜いて口を閉じます。空気に触れると乾燥や酸化の原因になります。
- 冷凍庫へ: この状態で冷凍庫で保存します。約1ヶ月ほど保存が可能です。
使う際は、解凍せずに凍ったまま加熱調理に使いましょう。 グラタンやピザのトッピング、スープに入れるなど、凍った状態のまま使っても、加熱すれば問題なくとろけます。冷蔵庫で保存すると、チーズ同士がくっついて固まってしまったり、カビが生えやすくなったりするので、開封後は早めに冷凍するのがおすすめです。
まとめ:ピザ用チーズととろけるチーズの違いを知って料理をもっと楽しく

この記事では、「ピザ用チーズ」と「とろけるチーズ」の違いについて、様々な角度から解説してきました。最後に、大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 名称の違い: 「ピザ用チーズ」は用途(ピザに最適)を、「とろけるチーズ」は性質(熱で溶ける)を表す言葉です。一般的に、前者はシュレッドタイプ、後者はスライスタイプを指すことが多いです。
- 原材料の違い: ピザ用チーズは、モッツァレラやゴーダなど数種類のナチュラルチーズをブレンドしたものが多く、豊かな風味と伸びが特徴です。一方、とろけるスライスチーズは、品質が安定したプロセスチーズから作られることが多く、マイルドでなめらかな口溶けが魅力です。
- 食感と見た目の違い: 伸びの良さと香ばしい焼き色を求めるならピザ用チーズ、手軽さとクリーミーな溶け具合を重視するならとろけるスライスチーズが向いています。
- 上手な使い分け: ピザやグラタンなど、チーズが主役のオーブン料理にはピザ用チーズを。 チーズトーストやハンバーグのトッピングなど、手軽にコクをプラスしたい時にはとろけるスライスチーズが便利です。
これまで何気なく選んでいたチーズも、それぞれの違いや特徴を知ることで、料理に合わせて最適なものを選べるようになります。それぞれの長所を活かして使い分けることで、いつもの料理がさらに美味しく、バリエーション豊かになるはずです。ぜひ、次のお買い物の際にはチーズ売り場をじっくりと眺めて、あなたの作りたい料理にぴったりのチーズを選んでみてください。



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