降水量50mmの雨は一日にどれくらい?強さと影響、防災対策を解説

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天気予報で「一日の降水量が50mm」と聞いても、具体的にどれくらいの雨なのか、すぐにはイメージしにくいかもしれません。「50mm」という数字が、私たちの生活にどのような影響を与え、どんな危険が潜んでいるのでしょうか。

実はこの雨量、降り方によっては災害につながる可能性も十分にあります。この記事では、「一日の降水量50mm」がどの程度の雨なのかという基本的な知識から、それによって引き起こされる影響、そして私たちが事前にできる備えまで、やさしく、わかりやすく解説していきます。この記事を読めば、大雨のニュースを正しく理解し、ご自身や大切な人の安全を守るための行動につなげることができるでしょう。

一日の降水量50mmとは?具体的なイメージと雨の強さ

天気予報で耳にする「降水量」ですが、まずはその定義と50mmという量がどれくらいなのかを具体的に見ていきましょう。言葉の定義を正しく理解することで、災害への備えにもつながります。

「1時間に50mm」の雨との違い

まず大切なのは、「一日の降水量50mm」と「1時間に50mmの降水量」は全く違うということです。

  • 一日の降水量50mm: 24時間かけて、合計で50mmの雨が降ることを意味します。もし、24時間均等に降り続いたとすると、1時間あたりは約2.1mmです。これは気象庁の表現でいうと「弱い雨」や「やや強い雨」程度に相当し、すぐに大きな災害に結びつく雨量ではありません。
  • 1時間に50mmの降水量: わずか1時間で50mmの雨が降ることで、これは「非常に激しい雨」に分類されます。 滝のようにゴーゴーと降り続き、傘は全く役に立たなくなるレベルです。

つまり、「一日の降水量50mm」という予報でも、

その雨が短時間に集中して降るのか、それとも長時間かけてしとしとと降るのかによって、危険度が大きく変わる

という点が非常に重要です。例えば、24時間のうち、たった1時間に集中して50mmの雨が降れば、それは「非常に激しい雨」となり、災害のリスクが一気に高まります。

気象庁の予報用語との比較

気象庁では、雨の強さを1時間あたりの降水量で段階的に表現しています。 これを知っておくと、テレビやラジオの気象情報をより深く理解できます。

1時間降水量 予報用語 人が受けるイメージ 影響や屋外の様子
10~20mm未満 やや強い雨 ザーザーと降る 地面からの跳ね返りで足元がぬれる。地面一面に水たまりができる。
20~30mm未満 強い雨 どしゃ降り 傘をさしていてもぬれる。車のワイパーを速くしても見づらくなる。
30~50mm未満 激しい雨 バケツをひっくり返したように降る 道路が川のようになる。高速走行時にブレーキが効きにくくなることがある。
50~80mm未満 非常に激しい雨 滝のように降る 傘は全く役に立たない。 水しぶきで視界が悪くなり、車の運転は危険。
80mm以上 猛烈な雨 息苦しくなるような圧迫感。恐怖を感じる。 多くの災害が発生する。大規模な災害の起こるおそれが強く、厳重な警戒が必要。

(出典:気象庁「雨の強さと降り方」の情報を基に作成)

このように見ると、「1時間に50mm」の雨がいかに危険なレベルであるかがわかります。大雨警報が発表され、土砂災害や浸水、河川の氾濫といった災害発生の可能性が非常に高まる雨量です。

50mmの雨を身近なものに例えると?

「降水量50mm」とは、地面に降った雨がどこにも流れずにそのまま溜まった場合、水の深さが5cmになることを意味します。

もう少し具体的にイメージしてみましょう。
1平方メートルの広さに50mmの雨が降ると、その水の量は50リットルになります。 これは、一般的な2リットルのペットボトル25本分に相当します。もし傘を広げて1時間立っていると、その上には牛乳パック(1リットル)50本分の雨が降り注ぐ計算になります。 これだけの量が短時間に降り注ぐと、排水能力を超えてしまい、様々な影響が出始めることは想像に難くないでしょう。

降水量50mmがもたらす影響と危険性

一日の総量が50mmであっても、その降り方によっては私たちの生活に大きな影響を及ぼし、時には命に関わる危険な状況を引き起こします。特に短時間に雨が集中した場合に、どのようなことが起こりうるのかを具体的に見ていきましょう。

道路や交通機関への影響

1時間に30mmを超える「激しい雨」になると、道路は川のようになり始めます。 50mmを超える「非常に激しい雨」になると、水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が著しく悪化します。 このような状況での車の運転は非常に危険です。

  • ハイドロプレーニング現象: 道路とタイヤの間に水の膜ができ、ブレーキやハンドルが効かなくなる現象が起こりやすくなります。
  • アンダーパスの冠水: 周囲より低い位置にあるアンダーパス(線路や道路の下をくぐる道)は、雨水がたまりやすく、あっという間に冠水してしまいます。 エンジンが停止して車が動かなくなるだけでなく、水圧でドアが開かなくなり車内に閉じ込められる危険性もあります。
  • 交通機関の乱れ: 大雨は、電車の遅延や運転見合わせ、バスの運休など、公共交通機関にも大きな影響を与えます。

河川や用水路の増水リスク

強い雨が降り続くと、中小河川は急激に水位が上昇し、氾濫の危険性が高まります。普段は穏やかな川でも、茶色く濁った水がごうごうと音を立てて流れるようになります。

また、見落としがちなのが用水路の危険性です。大雨によってあふれた用水路は、道路との境界が見えなくなり、転落事故の原因となります。雨が降っている最中や、雨が止んだ後でも、絶対に川や用水路の様子を見に行くのはやめましょう。

土砂災害の危険性

山間部や崖の近くでは、土砂災害への警戒が必要です。雨が地面に浸透することで地盤が緩み、がけ崩れ土石流が発生しやすくなります。

特に、以下のような兆候が見られた場合は、土砂災害の前触れかもしれません。直ちに安全な場所へ避難してください。

  • 崖から小石がパラパラと落ちてくる
  • 斜面から水が湧き出ている
  • 地面にひび割れができる
  • 木が傾いたり、裂ける音がしたりする

自治体が公表しているハザードマップで、自宅が土砂災害警戒区域に入っているかどうかを事前に確認しておくことが重要です。

都市部での内水氾濫(冠水)

都市部特有の災害として「内水氾濫(ないすいはんらん)」があります。 これは、短時間に大量の雨が降ったことで、下水道や排水路が雨水を処理しきれなくなり、マンホールなどから水があふれ出して道路や住宅地が浸水する現象です。

内水氾濫は、川から離れた場所でも発生するのが特徴です。

アスファルトで覆われた都市部では、雨水が地面に浸透しにくいため、特に起こりやすいとされています。 地下街や半地下の住宅、地下駐車場などは、雨水が流れ込みやすく、大きな被害につながる危険性があります。

大雨の予報が出たら?降水量50mmに備えるための防災対策

「一日の降水量50mm」という予報が出たら、それは災害への備えを見直すサインです。特に、短時間に強い雨が降る可能性が示唆されている場合は、早めの行動が重要になります。いざという時に慌てないために、事前にできること、そして雨が降っている最中に気をつけるべきことを確認しておきましょう。

事前にできる備え(ハザードマップ、避難場所の確認)

災害への備えは、雨が降る前から始まっています。平穏なうちに、以下のことを必ず確認しておきましょう。

  • ハザードマップの確認:
    お住まいの自治体が作成しているハザードマップを必ず確認してください。 ハザードマップとは、洪水による浸水が想定される区域や土砂災害の危険がある場所、避難場所などが地図上に示されたものです。 自宅や職場、学校周辺にどのような危険があるのかを把握することが、防災の第一歩です。 ハザードマップは、自治体の窓口やウェブサイト、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」などで確認できます。
  • 避難場所と避難経路の確認:
    ハザードマップで避難場所の位置を確認したら、実際にそこまでの経路を歩いてみましょう。昼間だけでなく夜間に移動することも想定し、危険な箇所がないか確認しておくと安心です。複数の避難経路を考えておくことも大切です。
  • 家の周りの点検:
    家の周りの側溝や排水溝に落ち葉やゴミが詰まっていると、雨水がうまく流れず、浸水の原因になります。定期的に掃除をして、水はけを良くしておきましょう。また、風で飛ばされそうな植木鉢などは、家の中に入れておくか、固定するなどの対策をしておきましょう。

非常用持ち出し袋の準備と中身

万が一の避難に備えて、非常用持ち出し袋を準備し、すぐに持ち出せる場所に置いておきましょう。中身は定期的に点検し、食料や水の賞味期限、薬の使用期限などを確認することが重要です。

【非常用持ち出し袋に入れておきたいものリスト】
飲料水・食料品: 1人あたり最低3日分。調理不要で食べられるものが便利。
貴重品: 現金(公衆電話用に小銭も)、預金通帳、印鑑、健康保険証・運転免許証のコピーなど。
避難用品: 懐中電灯(予備電池も)、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、ヘルメットや防災頭巾。
生活用品: 救急用品(絆創膏、消毒液、常備薬など)、携帯トイレ、ウェットティッシュ、マスク、軍手、タオル、着替え。
*乳幼児がいる場合: ミルク、哺乳瓶、おむつ、おしりふき。

最新の気象情報の入手方法

大雨が予想される場合は、こまめに最新の気象情報を確認することが命を守る行動につながります。テレビやラジオだけでなく、様々なツールを活用して情報を入手しましょう。

  • 気象庁のウェブサイト:
    気象庁のウェブサイトでは、「キキクル(危険度分布)」で、土砂災害や浸水害、洪水の危険度が地図上で色分けされて表示され、お住まいの地域の危険度が一目でわかります。
  • 防災アプリ:
    スマートフォンをお持ちの方は、自治体の防災アプリや、緊急速報を受け取れるアプリをインストールしておくと便利です。
  • 警戒レベルの理解:
    国や自治体は、災害の危険度に応じて5段階の「警戒レベル」で避難情報を発表します。 警戒レベル4「避難指示」が発令されたら、危険な場所にいる人は全員避難する必要があります。 警戒レベル3「高齢者等避難」は、避難に時間のかかる高齢者や障がいのある人が避難を始めるタイミングです。 これらの情報が発表されたら、速やかに行動に移してください。

雨が降っている最中の注意点

実際に雨が降り始めたら、安全を最優先に行動してください。

  • 不要不急の外出は避ける:
    特に「激しい雨」や「非常に激しい雨」が降っているときは、屋外は危険です。外出は控え、安全な屋内で過ごしましょう。
  • 車での移動は慎重に:
    やむを得ず車を運転する場合は、速度を落とし、車間距離を十分にとりましょう。冠水しやすいアンダーパスや川沿いの道は避けてください。少しでも危険を感じたら、安全な場所に停車し、雨が弱まるのを待ちましょう。
  • 危険な場所には絶対に近づかない:
    増水した河川や用水路、崖や斜面など、危険な場所には絶対に近づかないでください。「少しだけなら大丈夫」という油断が、命取りになることがあります。

近年の大雨と降水量50mmの関係

近年、ニュースで「これまでに経験したことのないような大雨」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。地球温暖化の影響もあり、大雨の降り方は確実に変化しています。「一日の降水量50mm」という数字も、こうした気象の変化の中で捉え直す必要があります。

過去に発生した豪雨災害の事例

過去の豪雨災害を振り返ると、その多くが短時間に集中した雨によって引き起こされていることがわかります。 例えば、平成30年7月豪雨では、西日本を中心に多くの観測地点で24時間、48時間、72時間の降水量が観測史上1位を記録しました。

これらの災害では、一日あたりの総降水量が数百ミリに達することも珍しくありません。しかし、そのきっかけは、1時間に50mmを超えるような「非常に激しい雨」が断続的に降ることでした。一日50mmの雨でも、それが数日にわたって続いたり、短時間に集中したりすることで、地盤が緩み、河川の水位が上昇し、大規模な災害へと発展していくのです。

地球温暖化と大雨の増加傾向

地球温暖化の進行は、大雨の頻度や強度を増加させる一因と考えられています。気温が上昇すると、空気中に含まれる水蒸気の量が増えます。これにより、一度に降る雨の量がこれまでよりも多くなる傾向があります。

気象庁のデータを見ても、1時間降水量50mm以上や80mm以上の短時間強雨の発生回数は、長期的に見て増加傾向にあります。 これは、これまで大雨災害が少なかった地域でも、今後は同様の災害が発生するリスクが高まっていることを意味します。もはや「ここは大丈夫」という考えは通用しない時代になっているのです。

「線状降水帯」とは何か?

近年の豪雨災害で頻繁に聞かれるようになったのが「線状降水帯」という言葉です。

線状降水帯とは、次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる強い降水域のことです。

線状降水帯が発生すると、同じ場所で「非常に激しい雨」や「猛烈な雨」が長時間降り続くため、極めて深刻な災害を引き起こす危険性が急激に高まります。 気象庁では、線状降水帯による大雨の可能性が半日程度前から高まった場合に、気象情報で注意を呼びかけています。 この情報が発表された際には、最大級の警戒が必要です。

まとめ:一日の降水量50mmを正しく理解し、早めの備えを

この記事では、「一日の降水量50mm」というキーワードを軸に、その雨が持つ意味や危険性、そして私たちが取るべき防災対策について解説してきました。

重要なポイントは以下の通りです。

  • 「一日の降水量50mm」は、降り方によって危険度が大きく変わります。特に短時間に雨が集中する場合は、災害のリスクが急激に高まります。
  • 1時間に50mmの雨は「非常に激しい雨」に分類され、道路の冠水や土砂災害、河川の増水など、様々な危険を引き起こします。
  • 大雨の予報が出たら、まずはハザードマップでお住まいの地域の災害リスクを確認し、避難場所や避難経路を把握しておくことが重要です。
  • 気象庁が発表する「キキクル(危険度分布)」や自治体からの「警戒レベル」などの防災情報をこまめに確認し、危険が迫った際には早めに避難行動を開始してください。

「一日の降水量50mm」という数字は、決して侮れるものではありません。この数字を、防災意識を高め、具体的な備えを始めるきっかけとしてください。日頃からの正しい知識と準備が、いざという時にあなたとあなたの大切な人の命を守ることにつながります。

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